前回は人員要件についてみてきましたが、今回は物件要件ですね。どんな建物で、どんな設備がないといけないかといった部分です。
放課後等デイサービスを開業するうえでとても大切なポイントになりますので、よろしくお願いします。
物件要件
物件選びの際には、都市計画法、建築基準法、消防法、条例(まちづくり条例やバリアフリー条例など)、児童福祉法、規則、ガイドラインなどなど、さまざまな決まりに適合させる必要があります。
都市計画法
いくつか中身を見ていきましょう。都市計画法で考えますと、まず原則として、障がい福祉事業は市街化調整区域では開業できません。市街化調整区域とは、原則として開発行為を行わず、都市施設の整備も行われない地域です。田舎へ行くと、気づかないうちにこのような場所を選んでいる場合が多いので気をつけましょう。
実は、市街化調整区域で開業することは絶対にできないというわけではありません。しかし、そのために必要な要件を満たすためには莫大な費用がかかりますので、現実的ではないと考えましょう。まずは市街化調整区域ではない場所を選ぶ。それがファーストステップとなります。
建築基準法
続いて建築基準法でいくと、放課後等デイサービスでの使用面積が200㎡未満の物件にしなければなりません。これは、店舗や住居として使用されている既存建物を、建築基準法で定められている「児童福祉施設等」として使用する場合には、床面積が200㎡を越えてしまうと、用途変更という建築確認申請が必要となるからです。
そして、児童福祉施設の用途変更の基準は大変厳しく設定されており、耐震工事などが必要となることもありますので、建て直した方が安くなるなんていうこともありえます。
よって、こちらも200㎡以上の物件で放課後等デイサービスを開業することは可能ですが、現実的ではないというお話になります。
消防法
消防法については以前にも少し触れましたが、必ず消防の「防火対象物使用開始届」を提出する必要があります。この際に注意しなければならないのは、たとえば複数店舗が入っているビルなどで営業する場合、放課後等デイサービスを営業する場所の広さではなく、ビル全体の延べ床面積が300㎡を越えた場合、すべての部屋に自動火災報知設備の設置が義務付けられているということです。そうなると、部屋数が増えるごとに必要な費用が増加するので、かなり注意が必要です。
消防法は非常に複雑な法律なので、消防設備の設置工事を行う前には必ず管轄の消防署へ事前相談をしましょう。よく必要とされる設備は「自動火災報知機」「スプリンクラー」「避難器具」「消化器」「誘導灯」などです。
設備要件
また、放課後等デイサービスを行う設備要件には、以下のようなものがあります。
表)放課後等デイサービス及び児童発達支援サービスの設備要件
設備 | 設備要件 |
指導訓練室 | ・利用者1人あたり3㎡(3.3,4など指定権者による)のスペースが確保されること。→10人定員だと30㎡ ・訓練に必要な設備を備えること |
相談室 | プライバシーが確保できる空間であること (指定権者により必須の場合とそうでない場合がある) |
洗面所・トイレ | ・トイレと洗面は別々であること ・トイレが2つ以上必要とする指定権者もある |
事務室 | 鍵付きの棚など個人情報保護に必要な設備があること 事務所は施設内になくても可 |
その他の要件
上記のような基準を満たさなければならない他、指定権者が求めてくるものの例をいくつかご紹介します。
まず、車を駐車することのできるスペースがあることを求められる場合が多いです。特に送迎サービスを行う場合は、当然ですが送迎車を駐車できるスペースが必要となります。送迎時に利用者が安全に乗降できるようなスペースを確保できるようにしておくことが大切でしょう。
また、浸水想定区域と土砂災害警戒区域を確認したうえで、この区域内の事業所には「避難確保計画の作成」や「避難訓練の実施」などが必要となる場合もあります。
コメント