実務ノウハウ

処遇改善加算とは|対象と配分の注意点

処遇改善加算とは、事業所の職員に全額以上配分することを前提として、通常の障がい福祉サービス報酬とは別に支給される加算です。

上記の文章の中ですでに2点、説明しなければならない点があります。まず「職員に」といった場合の職員の定義について。処遇改善加算は古くからある制度ではなく、むしろ今現在も施行しながら改善を続けている制度であり、その内容は度重なる改訂により複雑化しています。というのも、処遇改善加算には、通常の処遇改善加算の他に、特定処遇改善加算というものが存在します。(また、処遇改善特別加算というものもあります。)

言葉が類似しているのですでに分かりづらくなっているのですが、この2つの加算は配分の対象となる職種が異なります。

通常の処遇改善加算の配分の対象となるのは「直接処遇職員」とされています。つまり、「福祉・介護職員」に対して配分されるものであり、事務所で勤務する従業員全員が対象となるわけではありません。

もう少し具体的な話にすると、例えば「児童指導員」「生活支援員」「就労支援員」といった、事業所の中で利用者の支援に直接従事している職種の方が配分の対象であり、「管理者」「サービス管理責任者」や事務スタッフなどは支給対象になりません。

一方、特定処遇改善加算の特徴は、上記の例で挙げた「管理者」や事務スタッフなどにも配分可能である点が最大の特徴です。というのも、通常の処遇改善加算は「現場の職員」の賃金改善を目的としているのに対し、特定処遇改善加算は事業所における「中核人材」の賃金改善を目的としています。ここでいう中核人材とは「サービス管理責任者」のように事業所のマネジメントに関わる職種だと考えてください。

少し長くなってしまいましたが、もう1点だけ説明させてください。それは1文目の「全額以上配分することを前提として」という部分です。

これはどういう意味かというと、処遇改善加算を受給するには、処遇改善加算で支給される額を「越える」賃金改善を実施しなければならないということです。

例えば、処遇改善加算として年間100万円が支給されたとするならば、事業所は福祉・介護職員に対してそれより「1円でも高く」なるように賃金改善を実施しなければなりません。

もし賃金改善が処遇改善加算の支給額以下で合った場合は、不正請求として「処遇改善加算として支給された全額」が返還対象となってしまいます。「その差額分」ではなく「全額」であるので注意してください。

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