前回は指定権者について説明しました。
ではようやく今回は事業開始までの全体像をご説明します。
①物件選び
まずは開業する事業所の賃貸物件を選びます。あとで詳しく説明しますが、放課後等デイサービスの物件には、消防法や建築基準法の関係で、床面積など気をつけなければならない部分が多いので、物件選びは慎重にお願いします。選ぶ物件によって、指定が取れるまでのスケジュールや労力が大幅に変わってきます。
また、物件の場所についてですが、原則として「市街化調整区域ではない場所」を選びましょう。
②指定権者と消防への事前相談
選んだ物件が放課後等デイサービスの物件として適切かどうか、また不明点などを指定権者との事前相談で確認しておくと安心です。事前相談は任意ですが、初めて障がい福祉事業を行う場合や疑問点が多い場合は、必ず事前相談を行うべきです。
同時に、物件を管轄する所在地の消防署にも事前相談を行います。こちらは必須となりますのでご注意ください。
また、東京都や神奈川県では「指定協議説明会」に管理者等が参加することが放課後等デイサービスを開業する場合の前提条件となっています。このように、地域によって必要なステップが変わってくることがありますので、事前のスケジュールは慎重に考えましょう。
③事前協議
事前協議の際には「事前協議書」を提出します。事前調査票や事業実地計画書を提出しなければならない場合もあり、事前相談のときに必要な書類を確認しておくとスムーズに話が進みます。事前協議のやり方は指定権者によって大きく異なり、指定を取りたいと考える4ヶ月前には事前協議書を提出しなければならないとする指定権者もいれば、2ヶ月前でもよいとするところもあります。さらに、そもそも事前協議書の提出が不要な指定権者もあり、ここでも確認が必要です。
また、事前協議書は対面での提出と郵送での提出に分かれ、どのように提出すればいいのかは指定権者しだいです。
ちなみに、賃貸物件の契約はこの事前協議が終わったタイミングがベターでしょう。もし事前協議で物件要件に不備が見つかった場合、すでに不動産契約を済ませていると、お金も時間も無駄になってしまいます。
④消防の手続き
本申請を行う前には、消防へ「防火対象物使用開始届」を提出する必要があります。消防への事前相談の際に、必要な消防設備を指示してくれるので、必ず設置してください(誘導灯や自動火災報知設備など)。この消防設備工事は専門的な工事であり、「電気工事士」の資格を持っている専門家にしか頼むことができません。
ここは費用がかかる部分ですが、必ず行わなければならないところですので必要経費と考えてください。この開始届を提出すると、消防署の担当官が現地調査を行います。ここで取得できる「消防検査済証」の提出を求める指定権者もあります。
⑤本申請
本申請の際にはすでに人員配置が決まっている必要があります。つまり、求人を出して面接をし、採用までを済ませておく必要があるということです。また、内装工事や備品配置も終了していなければなりません。本申請も対面と郵送の2パターンに分かれ、不備がなければ受付となります。
指定の実行は1日となることが多く、指定が実行される前々月の20日〜前月10日までの間に行うこととしている指定権者が多いです。
⑥現地調査
現地調査については指定権者によって実施時期がさまざまですので、いつでも大丈夫のように適切な運営を心がけましょう。
⑦指定
以上の流れがクリアできれば無事「指定」となり、事業がスタートできます。開業後は帳票類の管理を怠らないようにしましょう。
⑧国保連請求の手続き
指定後に国保連から送られてくる資料をもとに、請求準備手続きを行います。これを行わないと、国保連からの入金はありません。つまり、一番大切な作業となります。
どうでしょうか、少しだけ開業までのイメージができましたでしょうか?
引き続きお付き合いいただけますとうれしいです。よろしくお願いします。
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